今年も秋がやってくる。
緑色の葉がみるみるうちに黄色くなり、赤くなる。
その赤は、濃くなり、さらに赤くなる。
河梅抄(室町時代初期に成立した、『源氏物語』の注釈書)に
このような言葉があるそう。
女は陽気を感じて春に男を思い
男は陰気を感じて秋に女を思う
暑い夏が終わり、涼しくなってきて、過ごしやすくなり始めるが、これから、寒さがどんどん増し、木々の色はどんどん色濃い赤へと変わってゆく。
騒がしく、暑苦しい夏とは違い、どこか離れてゆくような空気感を、ふっ と漂っていることに気がつく。そんな秋には、もの寂しいような、何か男性を恋しくさせ女性を思わせる魔法が潜んでいるのかもしれない。
秋の紅葉の中にキラリと光る金色の水引かざり。
繊細で凛しているたたずまいは、どこかの寂しさへ光を当てるように光り輝く。
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